金融ローカリゼーションで最もよくある3つの間違いと対策
企業による金融ローカリゼーションの需要が高まっています。金融関連文書の翻訳では、財務諸表や規制関連文書、年次報告書、投資調査報告書、有価証券の公募に関する文書、金融協定などのあらゆる文書を取り扱います。このように文書の種類が多岐にわたれば、当然ながら様々なスタイルの翻訳を求められることになります。
しかし多くの企業が同じ間違いを起こしています。ここでは上位3つのよくある間違いと、その対策についてご紹介します。
■ 間違いその1)メッセージを曖昧にしてしまう
企業のメッセージが誤訳され、元の内容と大幅に変わってしまうことがよくあります。
その事例があります。中国の国営通信社である「中国新聞(China News Service)」の記者が、2005年に「人民元の価値が上昇する可能性」を論じた記事を公開しました。その後、中国共産党の機関紙「人民日報(People’s Daily)」が、この記事を「米国と中国の経済官僚による翌週の会合後に、中国政府が人民元切り上げを発表する(つまり、人民元の価値が下がる可能性がある)」と誤った内容に英訳したのです。Bloombergとロイターがこれに疑問を抱いて誤訳だと気づいたときには、すでに数分間で約20億ドルの通貨取引が行われていました。
対策:
このような間違いをなくすために、金融レポートとプレスリリースの訳文を社内の金融翻訳者と一緒に確認し、校正することをおすすめします。また、機械翻訳を使用している場合は、社内でポストエディットを行い、公開前に品質を保証する必要があります。
■ 間違いその2)数字の区切りを誤ってしまう
英語圏の大半の国では、数字は3桁ごとにカンマで区切り、小数点以下をピリオドで区切ります。ところが、ドイツとスペインでは3桁の区切りにピリオドを使用し、スイスではアポストロフィーを使用します。そのため、英語からスペイン語に翻訳されると、100,000ドルが100ドルになってしまうこともあるのです。
対策:
数値の間違いを防ぐために、トランスパーフェクトのような言語サービスプロバイダーは、業界に精通したネイティブ翻訳者と提携しています。
例えば、国際的な株式新規上場(IPO)に関する書類の翻訳依頼があった場合、金融分野での経験が豊富で銀行業務の知識がある翻訳者だけが選出されるよう、翻訳者を慎重に選定しています。IPO申請書類の翻訳の質が高ければ、投資家は企業の事業内容と運営に関する全体像を正確に掴むことができます。その結果、報告書を読んだ投資家は企業に対する確信を深め、その企業に投資する可能性が高まるのです。
■ 間違いその3)Webサイトのデザインに拡張性がない
ローカリゼーションにはビジュアルが翻訳と同じく重要です。
ここで紹介する間違いは、新市場向けコンテンツのローカリゼーションを始める前の段階で生じやすいものです。企業は他の文化には適さない、または複製や再現が難しすぎるフォントやフォーマット、色、デザインを使用しがちです。例えば、英語とスペイン語は左から右へ読み進めますが、アラビア語とヘブライ語は右から左に読み進めるので、Webサイト開発者が作成したWebサイトのスクロールエフェクトが無効になってしまいます。
対策:
言語サービスプロバイダーは、今あるコンテンツのせいで将来の顧客を逃さないように、エンドユーザーに関する認識を高めておく必要があります。将来的に問題を引き起こさないために、企業は早い段階で、翻訳先の言語向けのデザインに関するベストプラクティスの調査を検討する必要があります。
トランスパーフェクトは、200以上の言語で世界中の一流金融サービス企業向けに多言語のコンシューマージャーニーを築いてきました。弊社の金融翻訳サービスにご興味がございましたら、無料相談やデモを行っておりますのでこちらまでお問い合わせください。