AIのバイアスを最小限にする3つの方法
何かの決定を行う際、少なからず自身の主観が入ってしまうのが人間です。主観的であると自らが認識しているか否かは関係なく、人間が行う意思決定には、必ずその人の好みや価値観、意見などが反映されます。
一方で、コンピューターは与えられたデータだけに基づいて決定を下します。つまり主観的思考の介入が軽減されるのです。予測や意思決定において、人工知能(AI)が活用されるのはこのためです。
しかし、機械学習においてはバイアスがかかったデータが取り込まれることがあります。そうすると、コンピューターがバイアスがかかったデータに基づいて差別的な決定を下したり、バイアスがかかった結果を出力したりすることになるのです。
これは、一体なぜこういうことが起こるのでしょうか。
AIにバイアスがかかる理由
私たち人間は、程度の差こそあれ、データは客観的なものであると思っています。しかし、そうしたAIシステムを開発し、機械学習のためのデータを作成しているのは、主観的思考を持つ人間です。つまり、収集されるデータには、私たち人間の主観的な意見、価値観、知識が必ず含まれます。すると、データに欠落が生じたり、場合によってはバイアスがかかったりすることになります。特定のグループやコミュニティがデータから排除される事態も生じることがあります。
従って、私たちは、AIシステムにバイアスがかかることを最小限に抑えるために、最善を尽くす必要があります。
以下はそのための具体的な方法です。
AIのバイアスを最小限に抑える方法
1. ユーザーからのフィードバックに耳を傾ける
アルゴリズムにはバイアスがかかっていることをはじめからしっかりと認識しましょう。
学習モデルを構築する際には、各ユーザーが持っているさまざまな背景や視点、意見を計算に入れます。そして、ユーザーのフィードバックに耳を傾け、ユーザーに最適なモデルにするためには、何が足りなかったのか、変更する必要があるのはどのような点か、そして何ができるかなどをしっかりと把握します。
ユーザーからフィードバックを収集する際のおすすめの方法は、ソーシャルメディアで簡単なアンケートを実施して意見を募る、または一人ひとりにメールを送って意見を返信してもらう、他にはプロジェクト関連のコミュニケーションの一環として意見を聞く、などが挙げられます。
2. トレーニングデータをレビューし選定する
AIシステムがどれだけスマートで効果的なものになるかは、機械学習モデルに取り込まれるデータによって決まります。ただし、取り込むデータが多ければ多いほど、AIがスマートになるとは限りません。実際、取り込むサンプルやデータセットが多すぎると、バイアスがさらに強くなることもあります。
このため、データを機械学習モデルに取り込む前に、そのデータを注意深くレビューし選定する必要があります。
正確なAIシステムを構築するうえで重要なのは、量よりも質を重視してトレーニングデータを選定することです。
3. 品質確認を常に行う
機械学習モデルの構築やリアルタイムでの結果のレビューを行う際、そのアルゴリズムプロセスに常に目を配り、モデル構築期間を通じて一貫した品質が保たれるように心がけます。
品質を保つためには、プロセスのいずれかのステップで意図せずにバイアスが入り込まないようにすることが大切です。そのためには、リアルタイムでプロセスを監視することが非常に重要です。早い段階で問題を突き止めることができると、解決策の特定が飛躍的に簡単になります。
バイアスを避けることはできない
理想は、AIからバイアスを完全に排除し、差別や不公平が全く起こらないようにすることです。 しかし実際は、AIからバイアスを排除することは非常に難しい問題であるのが現状です。 つまり、AIが学習するデータは人間がつくるものなので、結局、その人の考えやバイアスが反映されたものなのです。
私たちの役割は、こうしたバイアスを認識し、バイアスが発生する原因を把握して、バイアスを極力抑えたシステムを構築すること、そして、できることなら、バイアスを完全に排除することです。
DataForceは、データ収集やアノテーションなどを拡張可能かつ安全な方法で行い、バイアスを最小限に抑えるのに役立ちます。当社のソリューションにご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。