2022年グローバルのデジタルマーケティング戦略に盛り込むべき5つのトレンド
状況が変わっても、物事の本質は変わりません。
デジタルマーケティング業界の移り変わりや、新しい戦略を立てる際にマーケターがとるべきアプローチを考えるとき、私はよくこの言葉が頭に浮かびます。年度末になると、次の12か月間に予想される大きなトレンドや、注力すべき分野について、決まって活発な議論が行われます。
こうしたなか、2022年に大企業や中小企業、地域に根ざした会社やグローバル企業でも、B2BでもB2Cでも、すべての事業において考えるべき5つのトピックを紹介していきます。
〈目次〉
1.ウェブのパフォーマンス
2. SEO対策における重要ポイント「検索意図」とは?
3.サステナビリティとアクセシビリティ
4.今年も動画が注目される?
5.マルチチャネルのマーケティング
御社の戦略と比較してお読みいただければ幸いです。なお、当社は過去のウェビナーの参加者を対象に簡単なアンケートを実施しました。回答も併せてお伝えいたします。
1. ウェブのパフォーマンス
これは決して新しいトピックではありません。
しかし、Googleが引き続き「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」に重点を置いており、2月にはデスクトップ版のWebサイトにおいてページエクスペリエンスのアップデートを実施したことを踏まえると、重要性は今後も高い状況が続くでしょう。
インターネットユーザーは利用するすべてのWebサイトやアプリに速さと簡単さを求めており、その期待値がますます高まっていることを考えると、ウェブのパフォーマンスの最適化がより重要な課題であることは明らかです。
■ウェブのパフォーマンスを高める方法
ウェブのパフォーマンスを高めるには、読み込み速度やナビゲーションの明確さなど、様々な課題に対応する必要があります。テクニカルSEO、ウェブ開発およびUXの見直し、そして、Webサイトの技術的性能とユーザビリティを向上させるための実装やテスト変更が同時に求められます。改善できる部分を多く見つけ、変更を加えることで、ユーザーエクスペリエンスと検索ランキングの両方にとってプラスの効果が期待できるでしょう。
ただし、Googleのジョン・ミュラーは「問題や改善点を見つけるためにGoogleの無料ツールを利用している場合、完璧を求めすぎないように」 と注意を促しています。ジョンは、2021年9月に開催された「International Search Summit Global Virtual Edition」 の中で、
・PageSpeed Insightsのようなツールで満点の獲得に固執するのは、時間と労力の無駄
・重大な問題のあるエリアにフォーカスし、Webサイトが十分なレベルで機能していることを確認することが必要。
それ以外の細かいポイントに注力してもさほど違いは生まれません。
とアドバイスしています。弊社のアンケート結果でも、「2022年のデジタルマーケティング戦略において、Webサイトのパフォーマンス向上に注力されますか?」という質問に対し、約8割の方が注力すると回答しています。
2. SEO対策における重要ポイント「検索意図」とは?
近年のSEO対策において重要なポイントが「検索意図の把握」です。しかし、「検索意図」とは何を指すのでしょうか。
■検索意図とは
検索意図は、GoogleやYahooなどの検索エンジンで、検索をする際に「検索した目的(深層心理)」のことになります。例えば、「デジタルマーケティング、グローバル」と入力し検索する場合、「グローバルでのデジタルマーケティング」について知りたいのはもちろんですが、その背景には、「グローバルで商品を販売するための方法が知りたい、グローバルでコンバージョンを増やしたい」などといった検索の目的があると考えられます。
こうした検索ワードには直接入力されない、ユーザーの隠れたニーズが「検索意図」です。
■検索意図を把握すべき理由
「検索意図」を把握したコンテンツは、ユーザーが求めているコンテンツとなり、SEO効果や顧客ロイヤルティの向上などが期待できます。そこで、多くの企業が「検索意図」の把握についても対策をはじめてはじめていますが、まだまだ情報も十分ではあではありません。
■Semrushの検索意図機能
Semrushは最近、同社のツールに検索意図機能を追加しました。これは、キーワードの意図をinformational(情報型)、navigational(案内型)、commercial(商業調査型)、およびtransactional(取引型)の4つに分類するものです。この分類は手動でも行うことができ、どのようなコンテンツが検索の意図に最も適しているのかを決定するために利用されます。
■検索意図をそのまま翻訳して、検索してはいけない理由
なお、キーワードを翻訳するべきではないのと同様に、検索意図をそのまま翻訳して、検索にかけるべきではありません。
なぜなら、検索意図は、行動様式の違い、市場の成熟度、文化的影響、その他の多くの要因によって国ごとに異なるものだからです。勝手な憶測であるアプローチを別の市場にそのまま採用することは危険であり、効果が期待できないだけではなく悪い評判を生み出しかねません。
ビル・ハントは、「International Search Summit Global Virtual Edition」で検索意図やエンティティについて素晴らしい話をしており、このトピックについても詳しく触れています。ぜひ視聴してみてください。
下記は、ウェビナー参加者のアンケート結果ですが、91%の方が「検索意図」を次年度の戦略に組み込むと回答しています。
3. サステナビリティとアクセシビリティ
■ウェブのサステナビリティ
正直に言うと、私はこれまでインターネットがもつ環境への影響についてそれほど考えてきませんでした。そのため、この統計結果には少し驚きました。
’’私たちが使っている機器やインターネット、それを支えるシステムの二酸化炭素排出量は、地球全体の温室効果ガス排出量の3.7%を占めています。(出典:BBC)’’
よりイメージが湧くように言えば、この数字は航空業界とほぼ変わらない量なのです。デジタルの世界が気候変動に与える影響はほとんどないと思われがちですが、実際は大きく影響しています。
この影響は、様々な取り組みによって軽減することができます。例えば、Webサイトの読み込み速度を改善することは、その動作に必要なエネルギーの削減につながります。より環境に配慮したプロバイダーに切り替えることでも、違いを生むことができます。
■ウェブのアクセシビリティ
現在、あらゆる人が孤立したり排除されたりしないようサポートするインクルーシブなウェブプレゼンスや、すべてのユーザーにとって利用しやすいコンテンツの重要性がこれまで以上に高まっています。
例えば、動画に字幕を付ける、見やすいレイアウトにする、画像に代替テキストを追加するなどの小さな工夫で、聴覚や視覚に障がいをもつユーザーの体験を大幅に向上することができます。
近年、ブランドの社会的責任に対してますます期待が高まっています。、顧客は「サステナビリティ」と「アクセシビリティ」に対して明確な取り組みを行うブランドを積極的に支持するようになっています。実際、ウェビナーのアンケートでは、現在または近い将来において「サステナビリティ」が主要な戦略になる、と回答した人が85%にのぼりました。
4. 今年は動画が注目される?
またしても耳馴染みのあるトピックの登場です。動画の効果は既に知られています。しかし、驚くべきことに動画を戦略に取り入れていない企業が多いことも事実です。
数々の統計(上図)からも明らかなように、動画は、業界や年齢層、市場を問わずユーザーに人気で、共有もできる便利な媒体です。顧客がブランドについて知り、情報を得て、購入の意思決定をするための最も主要な手段になります。
だからといって、やみくもに動画を制作すれば良いというわけではありません。そこには必ず明確な目的があり、その動画はブランドの価値を高めるものでなければなりません。
■動画制作におけるヒント
動画制作にはコスト面での壁があるように感じられるかもしれませんが、必ずしも高額な費用をかける必要はありません。動画の種類や目的によっては、スマートフォンで撮影した安価な動画が莫大な予算をつぎ込んだ動画と同じくらい、あるいはそれに勝る効果を発揮することもあります。
まずは、製品・サービスのデモ、利用者の声、動画制作の裏側、SNS広告など、事業に適した動画の種類を考えましょう。それによってターゲット視聴者のブランド理解をどう向上させるか、またより明確かつ魅力的にコンテンツを表現するにはどうするべきか検討しましょう。
■海外向け動画での最適な伝え方
国外に視聴者がいる場合、視聴者にとって最適な伝え方を考えることも忘れてはいけません。吹き替えや字幕を使うのか、あるいは市場ごとに新規の、または変更を加えたコンテンツを制作するのか考えましょう。
ウェビナー参加者アンケートでも、動画をマーケティング戦略に組み込むことを検討すると回答した人が76%にのぼりました。
5. マルチチャネルのマーケティング
こちらもまた、目新しくも、画期的でもないトピックです。なぜこんなにも当たり前な内容を紹介しているかと不思議に思っていることでしょう。しかし、製品やサービスの購入を最終的に決定するまでの、ユーザーのブランドとの関わりは、以前と比べてますます濃いものとなっています。
グローバルブランド向けのデジタルプロジェクトを多く手掛けてきた当社の経験から、B2Bユーザーがブランドの商品を購入するまでに存在するタッチポイントは、驚くことに平均して50にも上ることがわかっています。50もです!
■一貫性のあるブランドエクスペリエンス
重要なことは、存在感を出し、一貫性を維持することです。
戦略には、デジタルでの接点に加えて、オフラインのチャネルも考慮に入れる必要があります。さらに、1つのエリアに焦点を絞るべきではありません。また、フォントや文章スタイル、メッセージなど、すべてにおいて一貫性のあるブランドエクスペリエンスを提供することが重要です。
これにより、ブランドの認知度とブランドに対する信用が確立されます。これらは顧客を獲得し、保持するために欠かせない要素です。
■流行との付き合い方
もちろん、ブランドを目立たせることは重要ですが、その一方で、とにかくどこにでも露出する必要があると考えたり、一番流行しているという理由だけで投資するプラットフォームやチャネルを選択したりすることは、ブランドが犯しがちな大きな間違いです。
例えば、TikTokが最近の流行だから、あるいはYouTubeが1日に何十億回も再生されているからといって、焦って参入すればいいというわけではありません。マルチチャネルマーケティングを成功させる鍵は、顧客層を知り、どのチャネルを長く見ているのか、何に心を動かされるのかを理解することなのです。
今回、ここで紹介した内容は、もちろんすべてのポイントを網羅しているわけではありません。各事業にはそれぞれ異なる優先事項があり、事業に合ったアプローチを考える必要があります。御社ではどんな戦略を立てますか?
トランスパーフェクトはグループにデジタルマーケティング専門のエージェンシーのwebcertainをもち、これまで多くのグローバル企業をサポートしています。グローバルでのマーケティングに課題を抱えている方、または検討している方は、こちらまでご連絡ください。
<関連ウェビナー>
海外市場でのブランド認知や売上拡大にお困りですか?事例から学ぶ!海外デジタルマーケティングセミナー
是非ご参加いただけますと幸いです。
【トランスパーフェクトについて】
トランスパーフェクトは、世界最大の言語サービスおよびテクノロジーソリューションプロバイダーとして、グローバル企業をサポートしています。6大陸100以上の都市に拠点を展開し、世界中のお客様に向けて、170以上の言語で幅広いサービスを提供しています。トランスパーフェクトのGlobalLink®テクノロジーは、5,000社以上のグローバル企業で採用され、強力かつシンプルな多言語コンテンツ管理を実現しています。品質と顧客サービスに徹底的にこだわるトランスパーフェクトtは、ISO 9001およびISO 17100への完全準拠の認証を取得しています。トランスパーフェクトはニューヨークにグローバル本社、ロンドンと香港に地域本社を置いています。