「パラサイト」の大ヒットを支えたのは字幕だった?
世界的な大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族』が第92回アカデミー賞で大旋風を巻き起こしたことは、トランスパーフェクトにとっても素晴らしいニュースでした。『パラサイト』の受賞は、韓国の映画制作者や脚本家、俳優、プロデューサー、制作会社の素晴らしさを世界に広める出来事でした。また、いかに字幕によって、視聴者が母国語で映画やテレビ番組を意図された通り楽しみ、会話の内容を理解できるようになったかという点にも注目が集まりました。ここでは、魅力的な映画がグローバルな視聴者の心をつかむうえで、字幕がいかに寄与したかを探り、その背景をご紹介します。映画のネタバレはしませんのでご安心ください。
キャプションを付ける – 字幕を理解する
『パラサイト』のオスカー受賞において字幕が注目されることはありませんでしたが、質の高い字幕がなければ、韓国語のネイティブスピーカー以外の視聴者に、この映画のストーリーを伝えることはできなかったでしょう。字幕は、台詞を情景描写や元の言語と関連付け、ストーリーの理解を深められるようにすることができます。私たちは、トランスパーフェクトのメディアサービスチームのハンナ・ブレームと話し、それが簡単な作業ではないことを知りました。特に、字幕には文字数制限や時間の制限といった制約があるためです。言うまでもなく、どの言葉を選べば、それがスクリーンに映し出される映像と関連性を持つことにつながるかを判断しなければなりません。
字幕は逐語訳(原文の一語一語を忠実に解釈・翻訳すること)を意図しておらず、俳優が話す台詞の意味を、誰にでもわかるように意訳することで、明確に伝える役割を果たします。視聴者は、スクリーンに表示されるテキストをただ読み進めるのではなく、小説を読むように、描かれた絵の情報を受け取るのです。字幕は、視聴者の感情的な体験において、また、視聴者のバックグラウンドが同じではない場合にさらなる難しさが加わるユーモア、悲しみ、喜びといった概念を伝えるうえで、重要な要素となります。トランスパーフェクトは翻訳会社として、この映画が称賛され、支持されて、世界的な評価を得ることにつながり、その勢いが拡大し続けていることを光栄だと考えています。
クリック1回で言語と文化のギャップを橋渡しする
『パラサイト』のプロットやストーリーを伝えるうえで、字幕がいかに活用されたかについて、基本的な理解を得たところで、アジア人の登場人物やアジアの文化を取り上げたほかの番組についても、簡単にご紹介しましょう。NetflixやHulu、Rakuten Vikiをはじめとする数多くのストリーミングサービスを利用して、複雑で興味深いさまざまな番組を楽しむことができます。アジア人が登場し、アジアの異文化を紹介する人気番組では、『花より男子~Boys Over Flowers』や『クィア・アイ in Japan!』、 そして日本発の「こんまりメソッド」やベストセラー本『人生がときめく片づけの魔法』をベースにした『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』などが良く知られているでしょう。これらの番組では、視聴者エンゲージメントの手段として、字幕が活用されているだけでなく、通訳や文化的な適応の事例などの重要な翻訳要素も取り入れられています。
翻訳は、メディアにおける言語や文化のギャップの橋渡しをします。上述の人気番組が示しているように、翻訳は、愛や自己研鑽、家族関係といったテーマの普遍的な理解を促します。根本的に、片思いや、清潔で整理整頓されたライフスタイルに共感するために、必ずしも同じ言語を話す必要はないことが、このような番組から見て取れるでしょう。
興味深い話題があります。日本国内のクィア・アイのシーズンの舞台裏コンテンツを見てみると、文化的にセンシティブな番組を制作するにあたって、通訳者や現地の人をどのように活用するかについて、実際に議論がなされています。通訳者がリアルタイムで登場することはありません。
成功へ導く – トランスパーフェクトのインパクト
『パラサイト』は、字幕や映像、撮影技術、プロットの意図が高く評価され、オスカーを獲得しました。『パラサイト』は、92年の歴史を誇るアカデミー賞で史上初めて、英語以外の作品で作品賞を受賞しました。数多くの才能あふれるチームとスタッフが、映画の世界的な成功を支えました。当社のLylo Media Group部門もその一翼を担っています。The Jokers Filmsは、『パラサイト』をフランス語圏の映画ファンに届けるためにサポートしました。字幕の取り組みは、どのような視聴者にも、メディアによるストーリーテリングの普遍的なコンセプトを伝える役割を果たします。
翻訳サービスとメディアとの関わりは、アジアの番組や字幕のみにとどまりません。外国語吹き替えのハイブリッドなアプローチに関するブログをぜひご覧ください。他の英語以外の番組、ラジオドラマ、テレビ小説、演劇などに関してご紹介しています。字幕とアジアの番組についてご紹介した今回のエピソードもお楽しみいただけていれば幸いです。『パラサイト』をまだご覧になっていない方は、ぜひ鑑賞会を企画しましょう!