2023年 メディア・エンターテイメント業界の8つのトレンド
メディア・エンターテイメント業界の皆様。皆様は1月に2023年の戦略策定はされましたでしょうか。世界経済の混乱の中で1年がスタートし、楽観的な見通しができないのではないのでしょうか。しかし、多くの人が考えるように、経済は停滞するばかりなのでしょうか。その場合、何が好機となるでしょうか。過去を振り返ると、困難な時期には必ずイノベーションが生み出されています。2023年に、期待できることが数多くあるはずです。このことを念頭に、2023年のメディア・エンターテイメント業界で重視される可能性が高い8つの主要トレンドを紹介します。
<目次>
- 質より量の傾向に
- 興行成績の回復について
- インフレ圧力によりエンターテインメントへの影響
- メディア間の取引 合併やパートナーシップ
- 広告業界の成長
- アドバタイジングビデオオンデマンド(広告付き動画配信)の継続的成長
- テクノロジーへの投資
- サステナビリティへの注力
#1 量より質の傾向に
オリジナルコンテンツへの資金投入のブームは2023年に落ち着く可能性が高いでしょう。TVなどの放送事業者やNetflixなどの配信事業者は、2022年に始まった厳しい経済情勢に適応しています。リサーチグループのAmpere Analysisによると、オリジナルコンテンツに対する全体的支出の増加は、昨年の6%から2023年には2%に減少すると予測されています。参照:リサーチグループAmpere Analysis(※こちらは有料コンテンツです。)
特に配信事業者は、ますます収益性を重視するようになっており、加入者を獲得するために大規模な投資を行ってきました。配信事業者は新しい番組の台本の発注を減らしている一方、実際に影響力のある質の高いプロジェクトを求めているとAmpereは指摘しています。コンテンツにも変化が見られ、よりコストの低い、台本がない形式の番組を取り入れるよう委託されている現状もあります。
#2 興行成績の回復について
映画館の世界的な興行成績の回復は2023年も続きますが、興行収入は依然としてコロナ禍以前の水準に達しないでしょう。企業分析エキスパートのGower Streetは、興行成績は今年12%の伸びを見せ、290億ドルに達すると予測しています。中でも、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』や『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』などの映画タイトルは視聴者を魅了するでしょう。12%という予測通りである場合、興行成績がコロナ禍以前の水準に完全に戻るのは、少なくとも2024年まで待たなければならないということになります。2019年の映画館の興行収入は世界で423億ドルでした。
#3 インフレ圧力によるエンターテイメントへの影響
生活費が上昇する中で、消費者は支出を減らそうとしています。特に若者は厳しさを実感しています。2023年はこの影響が続くとみられています。消費者は節約のためにサブスクリプションサービスを解約するかもしれません。しかし、経済が不透明な時期に、ホームエンターテイメントが好調になる場合があることを忘れてはいけません。たとえば、ストリーミングは外出するより、比較的安価なエンターテイメントの選択肢であり、一部のアナリストは景気が悪化すればそのようなサービスの視聴時間が増加すると考えています。
#4 メディア間の取引 合併やパートナーシップ
多くのアナリストが、2023年にメディア・エンターテイメント業界内で合併が増加する可能性が高いと述べています。コンサルティング企業のEYは、「戦略的な組み合わせによって、ストリーミング市場は消費者にとってわかりやすい世界となり、コストが削減されれば、より良いコンテンツ、マーケティング、テクノロジーに資金が投資され、現在世界的な大企業が主導している業界が合理化される」と指摘しています。一部のメディア企業は、完全な合併や買収が不可能な場合、同業他社とのパートナーシップやジョイントベンチャーで、市場への参入を加速し、共同で投資し、シナジーによるメリットを享受することができるでしょう。
#5 広告業界の成長
政治的、経済的な逆風の中、2022年も広告業界の伸びは堅調な1年でした。広告企業グループ、電通の最新の予測によると、2023年の世界の広告費は成長が続くと予想され、ペースは鈍化するものの、3.8%の成長が見込まれています。世界の広告費は今年、7409億ドルになると電通は予測しています。ブランドコンサルティング企業Kantarは、世界経済の課題がある中でも、主要なブランドは広告への投資を継続する可能性が高いと述べています。結局のところ、マーケティングへの投資は依然として、経済危機の中で最も強力な守りの手段の1つです。力を持つブランドは、厳しい状況下でさらなる経済的価値を維持し、市場環境が改善した際に、素早く回復できます。
#6 アドバタイジングビデオオンデマンド(広告付き動画配信)の継続的成長
Disney+とNetflixの両社は昨年、AVOD(アドバタイジングビデオオンデマンド)プランを開始しましたが、まさに好機をとらえていました。AVODを利用すれば、消費者は継続的に低コストでお気に入りのコンテンツにアクセスできるようになります。ストリーミングサービスは、新たな収益源を得る機会を拡大できます。
コンサルティング企業デロイトは、2023年末までに先進国の消費者の3分の2近くが、1カ月に少なくとも1つのAVODサービスを利用すると予想しています。前年比5%増となります。さらにデロイトは、2023年末までに先進国市場で、すべての主要なサブスクリプションビデオオンデマンド(SVOD)サービス事業者が、広告収入型のサブスクリプションを立ち上げ、広告なしのオプションを補完するようになると考えています。
#7 テクノロジーへの投資
革新的な企業は、2023年もテクノロジーへの投資を継続し、効率の改善、創造性の推進、コストの削減に役立てるでしょう。メディア企業はますます人工知能(AI)や機械学習ソリューションを抵抗なく受け入れるようになり、ワークフローを加速させ、カスタマーエンゲージメントを強化するために使用するでしょう。また、映画制作会社がバーチャルプロダクションの利用をより推進すれば、製作期間が短縮され、リアルタイムのコンピューター生成画像(CGI)と視覚効果をポストプロダクションではなく、現実のセットで活用できるようになります。
仮想現実(VR)も成長するでしょう。VR市場は2023年、世界で売上高70億ドルを達成するとデロイトは予測しています。2022年の約47億ドルから50%増という目覚ましい数字です。
メタバースと非代替性トークン(NFT)にも引き続き注目が集まるでしょう。このようなテクノロジーへの過剰な期待は2022年後半に急速に落ち着きを見せました。多くの人はこのことに好感を持っています。投機筋が去り、この分野でさらなる試行錯誤のフェーズが開始された格好となっています。消費者がどのようにコンテンツにアクセスし、広告にエンゲージし、没入的なインターネット体験の中で交流するかを、多くのメディア業界のリーダーが調査しています。
#8 サステナビリティへの注力
環境サステナビリティと二酸化炭素排出の削減は、特に国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)や、エネルギー価格の高騰を受け、2023年も引き続き重要な検討課題として取り上げられるでしょう。メディア・エンターテイメント業界にとって、2023年にはイノベーションが重要になります。ブランドが提供する環境にやさしい製品やサービス、メディア企業が提供するエネルギー効率の高いサービス、視聴者がサステナブルへの意識を高められるよう影響を与えられるコンテンツについて検討した広告素材など、どのような形でもイノベーションがカギとなるでしょう。
弊社のサービス
トランスパーフェクトは2023年も引き続き、お客様のビデオ制作とローカリゼーションの取り組みをサポートします。また、メディアワークフローのすべてのステップでイノベーションと効率化をもたらす最先端のテクノロジーツールへの大規模な投資を継続します。
NAB、IBC、MIPCOMなど、2023年のメディア・エンターテイメント業界で実施されるさまざまな大型イベントに参加する予定です。イベントに出席されるお客様は、ぜひお声がけください。
【MediaNEXTについて】
MediaNEXTは、トランスパーフェクトの動画サービス専門部門で、動画のグローバリゼーションのため幅広いソリューションを提供し、国境や言語の壁を越えるストーリー配信をサポートします。MediaNEXTによる動画翻訳は、特徴的なハイブリッドモデルを採用しており、クラウドベースのテクノロジープラットフォームと、世界各地に配置された制作拠点やレコーディングスタジオ、ミキシングルームのネットワークを組み合わせたサービスを提供しています。最先端のテクノロジーに裏打ちされた独自の動画ソリューションサービスは、最高レベルの品質を備えた翻訳、字幕、ボイスオーバー、吹き替えや各種のアクセシビリティサービスとして結実し、世界的な著名ブランドで数多く採用されています。https://www.transperfect.com/medianext