機械翻訳をプラグインではなくプログラムとして捉えるメリット
弊社は機械翻訳(MT)を「接続すればすぐ使える」というプラグインではなく、カスタマイズ可能なプログラムであると捉え機械翻訳導入を支援しています。
ニューラル機械翻訳(NMT)の基礎となっているテクノロジーは近年、大きく発展を遂げており、機械翻訳をツールとして用いてさらなるコストの削減と効率化を実現する動きがかつてないほど拡大しています。同様に、NMTテクノロジーへのアクセスがますます容易になっていることから、機械翻訳のプラグアンドプレイモデルを重視し、複雑になりがちなビジネス課題に対して、スピーディーでシンプルなソリューションを提供する業者が増えています。しかし、その結果、お客様は期待通りの成果や利益を得ることが難しくなっているかもしれません。
#1 どのようなビジネス課題を解決しようとしているか?
弊社は、まずお客様が解決しようとしているビジネス課題を明確にし、機械翻訳の導入支援を開始します。このステップの目的は、既製の機械翻訳ソリューションにただつないで(プラグインして)、すべてのユースケース、言語、コンテンツに一律に適用することに伴うリスクを軽減することです。また、お客様と協力、議論することで、解決できる別のビジネス課題が明らかになるかもしれません。
ビジネス課題は明確になっているように見えるかもしれませんが、企業が問題の核心を分析しようとせず、最初から機械翻訳を「解決策」として考えてしまうケースは少なくありません。そのような場合、お客様は機械翻訳がもたらすすべてのメリットに気づくことなく、不適切あるいは不十分なソリューションを作り出し、機械翻訳の効果が抑えられたり、まったく効果を得られないといった結果を招くことになりかねません。
そのため、弊社は最初の段階でビジネス課題を明確に定義したいと考えています。ここでは、2つのシナリオについて考えてみましょう。2社のお客様が北欧3言語にコンテンツを翻訳するというニーズを持っていましたが、それぞれ異なるビジネス課題を抱えているため、異なる機械翻訳ソリューションが必要となったビジネスシナリオです。
シナリオ1
ビジネス課題:ある高級ホテルチェーンは、優先度の高いデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの市場向けの数百ページにおよぶコンテンツをより効率良く翻訳するプロセスを必要としています。
MTソリューション:質の高いコンテンツをできる限り効率的に制作するため、機械翻訳とポストエディットを導入します。
シナリオ2
ビジネス課題:ある高級ホテルチェーンは、新しいホテルの数百におよぶ客室と施設の説明文のコンテンツを作成する必要があります。デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの市場は優先度が低く、きわめて限られた予算でコンテンツを翻訳しなければなりません。
MTソリューション:機械翻訳のみのソリューションがベストです。優先度の低い市場でコストを最小限に抑え、人的作業をなくすことができます。
このように、両社は大量のコンテンツを同じ3言語に翻訳しますが、ニーズは異なっており、それ故にソリューションも異なります。解決しなければならないビジネス課題を明確にすれば、最適な機械翻訳ソリューションを提供し、その後の課題解決の評価プロセスに向けた準備をしっかりと整えることができます。
#2 機械翻訳でビジネス課題をいかに解決できるか?
ビジネス課題を洗い出し、十分に精査したら、次のステップでは、機械翻訳でどの程度課題を解決できるかを示す基準を定義します。目的は、具体的な目標や重要業績評価指標(KPI)を設定することです。このような目標や指標は、ビジネス課題の最も重要な側面を直接反映し、次のステップで成果を測るためのベースにもなります。
2つのシナリオで、以下のKPIを使用して成果を測ってみましょう。
シナリオ1
ビジネス課題:これまで以上に効率的な翻訳プロセスが必要です。
KPI:翻訳完了までの時間を30%以上短縮します。
シナリオ2
ビジネス課題:翻訳予算を最適化しなければなりません。
KPI:翻訳コストを25%削減します。
弊社はビジネス目標やKPIを明確に設定し、機械翻訳でどの程度課題を解決できるかを評価します。また、さまざまな言語ペア、重要度、コンテンツ種別ごとの品質要件に基づく詳細なコンテンツマトリクスを作成し、採用する機械翻訳ソリューションで役立てます。推奨される機械翻訳のアプローチを、具体的な成果の基準に当てはめ、機械翻訳プログラムの基礎を形作ります。
#3 機械翻訳による課題解決の成果をどのように測定するか?
3つ目となる最後のステップでは、業界で標準的に用いられるさまざまな指標を使用し、KPIを追跡します。指標は1つだけ必要な場合もあれば、複数必要になる場合もあります。弊社のMetrics Serverは、GlobalLinkの機械翻訳ワークフローから主要な指標を自動的に収集し、表示します。
たとえば、以下の指標を使用し、KPIを追跡します。
シナリオ1
ビジネス課題:これまで以上に効率的な翻訳プロセスが必要です。
KPI:翻訳完了までの時間を30%以上短縮します。
指標:ポストエディットの生産性 – 言語スペシャリストがポストエディットする1時間あたりのワード数を測定しましょう。標準的な人力のみによる翻訳と比較します。生産性が高いほど、機械翻訳でワークフローを効率化することができます。
シナリオ2
ビジネス課題:翻訳予算を最適化しなければなりません。
KPI:翻訳コストを25%削減します。
指標:ポストエディットディスタンス(PED) – 機械翻訳が生成したコンテンツと、翻訳者が修正したコンテンツの違いを文字レベルで測定します。パーセンテージが小さいほど、必要な変更が少なく、大幅なコスト削減が達成されます。
設定されたビジネス目標やKPIにこれらの指標を適用すれば、私たちはベストプラクティスにしたがって機械翻訳を実装し、機械翻訳が引き出せる最も重要なメリットにフォーカスすることができます。また、指標には客観性があるため、複雑なITプロジェクトに伴う当て推量を排除することも可能です。このように、弊社はお客様のビジネスに価値をもたらすことにフォーカスした戦略的なアプローチをとります。
まとめ
プラグインの機械翻訳ソリューションは、このような洗練された高度な対応や分析を行いません。機械翻訳導入にプログラム的なアプローチを取り入れる弊社の取り組みは、継続的な研究開発で培った技術力、大手言語サービス企業として有する言語スペシャリストの専門知識、そして、30年以上にわたってさまざまなお客様と協働してきた実績などをユニークに兼ね備える弊社の成果が結実したものであると言えます。弊社はお客様にコンサルティングを行って、機械翻訳がお客様のビジネスにどのような価値をもたらし、ソリューション全体でどのような役割を果たすかを明確にしています。
プログラム的アプローチが、製薬企業や電子機器メーカー、法律事務所など、トランスパーフェクトの幅広いお客様にどのように活用されているか、ご興味をお持ちいただけたら、「機械翻訳特集レポート」をぜひご一読ください。
機械翻訳にプログラム的アプローチを取り入れる弊社の取り組みについて、詳しくは、こちらまでお問い合わせください。
トランスパーフェクトについて
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